2026年10月に、いまの法令に合わせて内容を見直しました。
- 定款を変えるには、株主総会の特別決議が必要
- 使っていない株券を発行する定めは、外しておくと安心
- 相続した人に株を売り渡してもらう定めで、経営の安定に備える
- 見直しの内容はまとめて登記すると、登録免許税をおさえられる
2006年の会社法の施行で、会社の定款は、それぞれの会社の事情に合わせて自由に決められる範囲が大きく広がりました。会社をつくったときの定款のまま、何年も見直していない会社は、一度見直してみることをおすすめします。とくに、代替わりを控えた会社では、株の相続への備えが大切です。
定款の変更は、社長おひとりの判断ではできません。株主総会の特別決議(議決権の過半数を持つ株主が出席し、その3分の2以上の賛成)が必要です。社長がすべての株を持っている会社であれば、社長の判断で決議できます。
まずは登記簿で確かめたいこと
| 登記簿の欄 | 見るところ | 見直しの例 |
|---|---|---|
| 株券を発行する旨の定め | 「株券を発行する」と書かれていないか | 株券を発行しない会社にする |
| 株式の譲渡制限に関する規定 | 「取締役会の承認」となっていないか | 取締役会をなくすなら「株主総会の承認」などに |
| 役員に関する事項 | 名前だけの役員がいないか、任期が切れていないか | 役員の体制と任期を見直す |
| 公告をする方法 | 官報になっているか | 決算公告をホームページで行う |
1. 株券を発行する定めが残っていないか
古くからある会社では、実際には株券を一度も発行していないのに、登記簿に「当会社の株式については、株券を発行する」という定めだけが残っていることがよくあります。
家族や身内で株を持っている会社では、株券はほとんど必要ありません。株券を発行しない会社にすれば、株を譲るときも株主名簿を書き換えるだけで済み、株券をなくす心配もなくなります。株券を一度も発行していない会社なら、株主総会で定款を変え、登記をする(登録免許税3万円)ことで、株券を発行しない会社にできます。実際に株券を発行している会社は、株主への通知と公告などの手続きが別に必要です。
2. 相続した人に株を売り渡してもらう定め
株主が亡くなると、その株は相続人に引き継がれます。会社の経営に関わっていない相続人が株主になり、経営の方針をめぐって会社ともめてしまうことがあります。
定款に「相続などで株を取得した人に、その株を会社に売り渡すよう請求できる」という定めを置いておくと、会社が株を買い取って、経営を安定させることができます(会社法 第174条)。この定めは登記をする事項ではないため、株主総会で定款を変え、議事録を会社で保管しておけば足ります。
(相続人等に対する売渡しの請求)
第○条 当会社は、相続その他の一般承継により当会社の株式を取得した者に対し、当該株式を当会社に売り渡すことを請求することができる。
- 請求できる期間会社が相続などがあったことを知った日から1年以内です。
- 買い取りの財源会社が買い取れる額には、配当できる額までという決まりがあります。
- 注意したいこと社長が亡くなったとき、残った株主が社長の相続人の株を買い取る形になり、意図しない結果になることもあります。株主の顔ぶれを考えて決めましょう。
3. 決算公告の方法
株式会社は、毎年の決算のあと、貸借対照表を公告する義務があります。官報で公告すると毎年の掲載料がかかりますが、自社のホームページで公告する方法に切り替えると、掲載料をおさえられます。くわしくはWEB決算公告のページをご覧ください。
4. 名前だけの役員と、役員の任期を見直す
以前の商法では、株式会社には取締役が3人以上必要でした。そのため、家族などに名前だけを借りて取締役にしている会社がいまもあります。いまは取締役1人でも株式会社をつくれるので、実際に経営に関わっている人だけの体制に見直すことができます。
取締役が3人未満になる場合は、取締役会を置かない会社への変更(取締役会の廃止)が必要です。あわせて、登記簿の株の譲渡についての定め(「取締役会の承認を受けなければならない」など)も、「株主総会の承認」などに変える必要があります。
株を譲るのに会社の承認が必要な会社では、取締役の任期を最長10年まで延ばせます。任期ごとの登記の手間と費用を減らせますが、任期中に辞めてもらうときにもめやすいなどの面もあります。
建設業の許可など、役員の経験が要件になっている許認可があります。役員を減らすと、いまの要件を満たす人に何かあったときに、次に引き継げる人が社内にいなくなるおそれがあります。役員を見直すときは、会社が持っている許認可の要件も確かめてください。
登記にかかる費用
| 変える内容 | 登録免許税 |
|---|---|
| 役員の変更(資本金1億円以下) | 1万円 |
| 取締役会・監査役を置く定めの廃止 | 3万円 |
| 株券を発行する定めの廃止、株式の譲渡制限の変更、公告の方法の変更など | 3万円(同じ区分はまとめて3万円) |
同じ区分の変更をまとめて申請すると、1件分の登録免許税で済みます。たとえば、名前だけの取締役の退任・取締役会の廃止・譲渡制限の変更を一度に行うと、1万円+3万円+3万円の7万円です。見直しの内容が決まったら、まとめて手続きをするのがおすすめです。登記の申請は、提携する司法書士が行います。
よくあるご質問
定款が見当たりません。どうすればよいですか。
設立のときに公証役場で認証を受けた定款は、一定の期間、公証役場に保管されています。その後の変更は株主総会の議事録で確かめます。それでも分からないときは、今の内容で定款をつくり直し、株主総会で承認する方法もあります。
定款を変えたら、必ず登記が必要ですか。
登記簿に載る事項(商号・目的・株券の発行・譲渡制限など)を変えたときは、2週間以内に登記が必要です。相続人等への売渡しの請求のように、登記簿に載らない事項は登記が要りません。
どこから手をつければよいか分かりません。
登記事項証明書(登記簿)と、今の定款をお持ちください。会社の状況や、代替わりの予定をうかがったうえで、見直したほうがよい点を整理してお伝えします。
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